イソフラボンの効果とは?女性ホルモンへの影響や摂取量を紹介

大豆

女性特有の不調にはイソフラボンが効果的と言われています。

女性ホルモンに関わる効果から月経不順、更年期、不妊の対策としてイメージされる方が多いようです。ここではイソフラボンがどのような成分なのか、どんな効果があるのかを解説しています。

管理栄養士が監修

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BELTA専属 管理栄養士
鳴海 菜々恵 (なるみ ななえ)

イソフラボンとは

イソフラボンは大豆に多く含まれるポリフェノールの1つで、一般的には大豆イソフラボンと言われています。大豆の胚芽に多く含まれているフラボノイドの一種です。

イソフラボンは大豆の「えぐみ」の原因物質として存在していますが、他の豆類にも含まれています。その含有量は大豆1粒にたった0.2〜0.3%程度で、とても希少な成分です。

胚芽に約10倍の含有量

大豆に含まれているイソフラボンは微量ですが、一番多く含まれているのが胚芽の部分で、含有量は大豆全体の約10倍です。

植物にとって芽や根になる胚芽は、最も重要な部分であり植物性プラセンタと言われるほど成長していく上で必要な栄養素が全て含まれています。

ポリフェノールは健康や美容に重要

ポリフェノールとは植物に含まれている色素・苦味・渋み・あくなどの部分で、抗酸化作用のある成分として活性酸素を除去する効果があり、健康や美容に不可欠です。

私たちは呼吸をするだけでエネルギーを使用して、活性酸素を発生させます。活性酸素は細胞の老化や傷を付けて、様々な病気の原因となる物質です。

若い時は体内で活性酸素を除去する酵素が作られるため、自分自身で除去することができます。しかし、年齢を重ねるとともに活性酸素を除去する力が低下するため、外部からポリフェノールを摂取することが大切です。

イソフラボンには2種類ある

イソフラボン

イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」の2つがあり、吸収性に違いがあります。

グリコシド型イソフラボン

グリコシド型イソフラボンとは大豆に含まれているままの状態です。イソフラボンに糖が合体した分子の大きい分子構造で、そのままの状態では腸からの吸収は難しく、大半が排出されてしまいます。

アグリコン型イソフラボン

アグリコン型イソフラボンは、グリコシド型イソフラボンの分子が小さくなって吸収されやすい状態になったものを指します。グリコシド型からアグリコン型に変化するためには特定の腸内細菌によって代謝される必要があります。アグリコン型イソフラボンの状態で摂取した場合、糖が既に外れているので、胃や腸からすぐに吸収されます。

イソフラボンの主な効果や働き

イソフラボンの分子構造は女性ホルモンのエストロゲンの分子構造に似ています。そのため、イソフラボンを摂取することでエストロゲンと同様の効果や補充したような働きが期待できます。

イソフラボンの主な効果は以下の通りです。

※参考:大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(食品安全委員会)

更年期症状の改善

女性の更年期の症状は、エストロゲンが閉経に向かって急激に減少することによって起こると言われています。エストロゲンの代わりにイソフラボンを摂取することで、更年期症状の改善につながります。実際にイソフラボンを摂取したところ、血管運動神経症状(顔のほてりや発汗、腰、手足の冷え等)の改善がみられたとの研究もあります。

※参考:大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について

骨粗しょう症を防ぐ

エストロゲンの減少に伴い、骨量が著しく少なくなります。これにより更年期には骨粗しょう症の発生が急激に増加します。

イソフラボンはエストロゲンの代わりに骨量の減少を防ぎ、骨粗しょう症のリスクを減らす効果もあります。

※参考:大豆イソフラボンの骨代謝調整作用

アンチエイジング・美肌効果

イソフラボンは強力な抗酸化作用によってアンチエイジングにも欠かせない食材と言われています。

また、加齢によるエストロゲンの減少はコラーゲンなどの体内生成を低下させてしまいます。細胞内のコラーゲンが減少することでシワやたるみを増やしてしまいますが、イソフラボンはコラーゲンの体内生成を促してくれる働きがあります。これにより、シワやたるみの改善や肌のハリを保つ等の美肌効果が期待できます。

ガンのリスクを減らす

イソフラボン摂取と乳がん発生率の関係
閉経後女性のイソフラボン摂取と乳がん発生率の関係

イソフラボンはがんのリスクを減らす効果があると期待されています。国立がんセンターの研究によると、イソフラボンの摂取量が乳がんの発生率と関連があるという結果が出ています。また、閉経後の対象者ではイソフラボンの摂取量が増加するにつれて乳がんの発生率が減少するという傾向があることが明らかになっています。

※参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター

※参考:国立がんセンター情報研究部

血行を促進して代謝を良くする

イソフラボンには赤血球の粘度を抑制する働きがあり、血液をサラサラにする効果があります。その働きによって血行が良くなり、末端血管まで血液が行き渡るようになり冷え体質などの改善が期待できます。

冷え体質の方は温かい環境でも体の中が冷えているケースが多いため、血流を改善し、体の内側から温めることが大切です。

冷え対策について詳しくみる

月経不順の改善

月経不順はエストロゲンが少なくなることやストレスによって起こります。

イソフラボンにはストレスホルモンを作る酵素の働きを防ぎ、ストレスに対抗できるホルモンの分泌量を増やす働きがあります。

そのため、イソフラボンを摂取し、ホルモンバランスを整えることで月経不順の改善を見込むことができます。

子宮内膜を厚くして着床力を上げる

女性の体は排卵が終わると受精卵が着床できるように、厚く粘度の高い子宮内膜を作ります。しかし、子宮内膜に問題があるとなかなか着床できません。また、もし着床しても途中で剥がれてしまうこともあり、その結果、流産につながります。

アグリコン型のイソフラボンには、着床に必要なサイトカイン、LIF(白血病阻害因子)の分泌を促進する働きがあるとされていて、着床を促す効果があることがわかっています。

イソフラボンの効果をより高める栄養素

イソフラボンには一緒に摂取することでより効果が発揮できる栄養素があります。

カルシウム

カルシウム

カルシウムは骨の主成分となり、骨を形成したり、骨の強度を保つために必要な成分です。また、イソフラボンは骨からのカルシウムの流出を防ぐ働きがあります。そのため、カルシウムとイソフラボンを一緒に摂取することで、より良い効果をもたらすことができます。

ビタミンC

ビタミンC

ビタミンCはイソフラボンと同様に抗酸化作用を持ち、美容効果も高いビタミンとしても知られています。また、ビタミンCにはイソフラボンと同様にコラーゲンの体内生成を促進する働きもあるため、一緒に摂ることで効果を高め合う栄養素となっています。

イソフラボンとエクオールの違い

イソフラボンと似た働きをする成分としてエクオールが挙げられることがあります。

しかし、イソフラボンとエクオールは別のものです。イソフラボンが大豆に含まれるポリフェノールの1つであるのに対し、エクオールはイソフラボンのうちダイゼインという成分が腸内細菌で変換されて作られる成分です。

エクオールについて
更に詳しく知りたい方はこちら

イソフラボンの1日の摂取量

イソフラボンの1日摂取量の目安

イソフラボンの1日の摂取量の目安は40〜50mg/日です。食品安全委員会によると、上限値は70〜75mg/日です。そのうち、特定保健用食品としてのイソフラボンの安全上乗せ摂取量の上限値は30mg/日とされています。

日本人の1日の平均摂取量は18mgと目安量を大きく下回っているので、食事やサプリメントを組み合わせつつ、意識して継続的にイソフラボンを摂取することが大切です。

※参考:食品安全委員会

イソフラボンを摂取できる食品

豆腐

豆腐、味噌、納豆、豆乳など大豆を原料とするほぼ全ての食品に含まれています。100g中に含有している目安量は以下の通りです。

食品名 含有量(mg/100g)
大豆 88.3~207.7mg
煮大豆 69.0~74.7mg
揚げ大豆 200.7mg
豆腐 17.1~24.3mg
油揚げ類 28.8~53.4mg
納豆 65.6~81.3mg
味噌 12.8~81.4mg
醤油 1.0~1.7mg
豆乳 7.6~59.4mg

※参考:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(食品安全委員会)

サプリメントで効率よく摂取しよう

サプリメント

イソフラボンを摂取するためには、大豆食品をしっかり摂る必要があります。しかし、日常の食生活で何となくは摂取できてはいるものの、体質の変化を実感できるほどの摂取量ではない場合が殆どです。

サプリメントであれば吸収率の高いアグリコン型のイソフラボンを摂取することができるため、しっかり補うことができます。イソフラボンを摂取したい方は、サプリメントを上手に利用して摂取することがおすすめです。

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