流産の原因と予防法とは?
確率や症状も医師が解説

流産の原因と予防法とは?

妊娠すると嬉しい気持ちと同時に、様々な不安を抱える妊婦さんも多いでしょう。
ここでは、流産の不安を抱える妊婦さんに向けて、流産になってしまう原因や流産の症状、予防法などを丸茂レディースクリニックの丸茂医師監修の下、解説していきます。

医師が監修

丸茂レディースクリニック 丸茂 元三医師の写真

丸茂レディースクリニック
院長 丸茂 元三 (まるも げんぞう)

■ 職歴・資格
2004年4月 板橋中央総合病院産婦人科 医長
2013年9月 丸茂レディースクリニック 開設
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
母体保護法指定医
https://www.marumo-ladies.jp/

流産とは?

早期流産後期流産死産の画像

流産とは、妊娠22週未満に妊娠が継続できない(赤ちゃんが亡くなってしまう)状態になることを指します。妊娠12週までに流産することを「早期流産」といい、流産全体の約8割を占めると言われています。

流産の原因

妊娠初期(妊娠12週まで)に流産が起こる原因のほとんどが胎児の染色体異常によるものだと言われています。この場合、卵子が受精した瞬間から遺伝的な疾患を抱えているため、亡くなってしまうことが多いです。

妊娠後期(妊娠12週以降)には、胎児の疾患だけでなく、母体の子宮の異常や重度の怪我、感染症、高年齢であること、ストレス、喫煙、過剰なカフェイン摂取など、母親側が原因となる場合も多くなります。

※参考:1.総論(日本産婦人科医会)

流産の確率

流産に至る確率は全妊娠の平均15%ほどです。
妊娠した女性の約7人に1人ということなので、意外と多くの女性が流産を経験しています。

流産の種類

種類の表

流産には、状態や時期などの違いによって様々な分類方法があります。その種類についてそれぞれ説明していきます。

人工流産

人工流産とは、人為的に行われる流産のことで「人工妊娠中絶」と同義です。
日本産婦人科医会による母体保護法では、以下のように定義されています。

人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物を母体外に排出すること

日本産婦人科医会:母体保護法

自然流産

人工流産以外の人為的でない流産のことを自然流産と呼びます。
自然流産は、さらに流産の進行状態や症状によって、次のような診断名がつけられます。

稽留(けいりゅう)流産

稽留流産とは、妊娠22週未満で胎児が子宮内で亡くなり、出血や痛みがないまま子宮内に留まっている状態のことをいいます。
流産の兆候も自覚症状もないため、超音波検査(エコー検査)で初めて発覚します。

進行流産

進行流産とは、胎児や胎盤などの子宮内容物が子宮の外に出始めており、まさに今流産が進行中の状態を指します。出血や腹痛を伴うことがほとんどで、一度進行流産が進んでしまうと妊娠を継続することはできません。

完全流産

完全流産とは、胎児や胎盤などの子宮内容物が完全に子宮の外に出た状態のことです。子宮内容物が全て排出されると、症状は徐々に収まり治療の必要はありません。

不全流産

不全流産とは、胎児や胎盤などの子宮内容物が外に出始めているものの、子宮内容物が一部子宮内に残っている状態を指します。
そのままにしておくと、大量出血や細菌感染の危険性があるため、子宮収縮薬の内服で自然に全て外に出るのを待つか、排出の見込みがない場合は子宮内容除去手術を行うことになります。

※参考:1.早期流産の処置方法の選択(日本産婦人科医会)

化学流産(生化学的妊娠)

妊娠検査薬

化学流産とは、妊娠検査薬では陽性だったが、その後の超音波検査では胎嚢が確認できず妊娠と診断されない状態を指します。
現在の日本では胎嚢が確認された時点で妊娠と見なすことが一般的なので、他の妊娠と区別して「生化学的妊娠」と呼ぶこともあります。

※参考:1.生化学的妊娠(Biochemical pregnancy)の扱い方(日本産婦人科医会)

切迫流産

切迫流産とは、まだ流産には至っていないが、流産のリスクが通常よりも高まっている状態のことを指します。
定義的には、「流産を念頭に置いて治療にあたる人」のすべてが切迫流産にあたります。
心配のない出血などで受診した場合も切迫流産と診断されるため、安静にして適切な対応を取ることで、正常妊娠へと回復できる場合がほとんどです。

※参考:切迫流産って、いったい何?(国立成育医療研究センター)

流産の兆候と症状

各流産の症状

流産の兆候として見られる症状は、少量の出血や子宮収縮によるおなかの張り・痛みが代表的です。
その他には、つわりが突然なくなったり、おりものの色が変化したりするなどの兆候が現れることもあります。

妊娠初期には正常な妊娠であっても出血や腹痛が起こることは多くあり、稽留流産のように症状がなく流産が起こる場合もあるため、症状だけで流産だと判断するのは難しいです。

症状が軽い場合は次の検診で医師に相談するようにしましょう。症状が重い場合には、子宮外妊娠という別の症状が原因の可能性もあるため、時間外であってもすぐに救急外来などを受診するようにしましょう。

流産の予防法

流産を完全に防ぐことは難しいですが、危険因子を減らすために行動することはできます。
妊活中の方も妊娠がわかった方も、日常生活の中で次のことに注意してみてください。

妊娠前にできる予防法

  • ・子宮内フローラ(膣内フローラ)を整える
  • ・タバコを吸わない
  • ・お酒を控える
  • ・予防接種を済ませる
  • ・基礎疾患を治療しておく

妊娠後にできる予防法

  • ・必要量の葉酸を摂取する
  • ・子宮内フローラ(膣内フローラ)を整える
  • ・タバコを吸わない
  • ・お酒を控える
  • ・カフェインを1日150mgまでにする
  • ・腹部に過度な負担がかからないようにする
  • ・栄養バランスの良い食生活を心がける
  • ・性交渉時にコンドームをつける
  • ・転倒に気をつける
神経管閉鎖障害による流産を減らす葉酸とは?

流産後のケア

妊娠初期の流産であれば体調の回復も早いですが、予定日が近くなってからの流産だと回復には時間がかかります。
また、どんな時期であってもしばらく気分が落ち込んだり、周りに相談しづらかったりすることはごく自然なことです。心と身体のケアをして、次の妊娠に備えましょう。

体を温める

腹巻き

流産後は、季節に関わらず体を温めることが大切です。特に、子宮周りから足にかけて冷やさないように意識しましょう。貼るカイロや腹巻きを使用してお腹周りを温めておくのが手軽でおすすめです。

睡眠と休息

流産後の心と身体を回復させるためには、睡眠と休息が欠かせません。
精神的なショックからなかなか眠れないこともあるかもしれませんが、横になって目を閉じるだけでもいいので、自分に合った十分な量の睡眠時間を確保しましょう。
睡眠不足はホルモンバランスが崩れ、妊活の再開にも影響する可能性があるので、不眠が続くようでしたら専門家に相談したり病院を受診することも考えてみてください。

次の妊娠は手術後3ヶ月経ってから

流産後、次の月経は手術や自然排出が終わってから2週間〜6週間で再開します。流産後1回目の月経から血中hCG濃度の値などが正常であれば、妊活の再開は可能です。

しかし、流産の中で最も多い稽留流産は、子宮内に残っている胎児や胎盤などを取り出すための手術を行うことがあります。
手術後には子宮を回復させる期間が必要なため、血中hCG値が基準値以下になり、ホルモン値やエコー検査などで問題がなくなるまで、手術後3ヶ月くらいの期間を開けるのが一般的です。

WHOでは6ヶ月以上待つことを推奨していますが、大事なのは長く期間を開けることではなく、それらの値に問題がないかどうかということです。

流産を経験したお客様と
BELTAの
サポートのエピソードはこちら

関連記事

関連商品

神経管閉鎖障害による流産リスクに
産婦人科医推奨の葉酸サプリはこちら

神経管閉鎖障害による流産リスクに
産婦人科医推奨の葉酸サプリはこちら