更年期の症状と原因
更年期にあらわれる症状や程度は人によって様々です。
また、年齢や日によっても症状が変化する場合もあります。
ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)や肩こり・疲れをはじめとした更年期の主な症状と原因について説明します。
更年期の症状
更年期の時期に現れる多様な症状を更年期症状といいます。
更年期症状は大きく分けて、精神神経症状、血管運動神経症状、消化器症状、運動器症状の4つに分けることができます。
精神神経系の症状
頭痛、めまい、不眠などの症状は精神神経症状に分類されます。精神神経症状は日本人に多いとされ、症状を訴える女性も少なくありません。
頭痛
更年期の頭痛には片頭痛と緊張型頭痛の2種類があります。
片頭痛の主な症状には頭の片側がズキズキと痛む、光や音に敏感になる等があります。片頭痛の場合、安静にして痛む部分を冷やしましょう。
緊張型頭痛の主な症状には頭全体が締め付けられるように痛む、肩こりと一緒に起こる頭痛等があります。緊張型頭痛の場合は入浴等で身体を温めましょう。
めまい
めまいの主な症状として、天井や壁がぐるぐる回っているような感じがする、身体が宙に浮いているような気がする、身体がふらつく等があります。
めまいの症状が出た場合、座ったり横になったりして治まるまで安静にし、症状が治まるまで待ちましょう。
眠気・不眠
更年期に起こる不眠のタイプは入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害の4つに分類されます。
入眠障害とは眠るまでに時間がかかり、寝つきが悪いことです。
中途覚醒とは眠りが浅く、起きるまでに何度も目がさめる状態のことを指します。
早朝覚醒とは早朝に目が覚めて、もう一度寝ることができない状態です。
熟眠障害とは睡眠時間は十分であるにも関わらず、深く眠った感じが得られない状態です。
不安感・うつ
不安感・うつの症状には心がざわざわして落ち着かない、漠然とした不安を感じる、やる気が起きない、集中力の低下を感じる、物事に興味がなくなる、食欲が湧かない・食べ過ぎてしまう等があり、人によって症状にばらつきがあります。
だるい・疲れやすい
だるさ、疲れの症状として、身体がだるい・重い、以前よりも疲れを感じやすい、寝ても疲れがとれない、疲れて仕事や家事がこなせない等があります。だるさ、疲れが起こるのは更年期の様々な変化に加え、加齢による睡眠サイクルの乱れが原因とされています。
イライラ
イライラの症状として、些細なことにイライラする、以前は気にならなかったことに腹がたつ、感情がコントロールできない、つまらないことにこだわってしまう等があります。イライラなどの感情の変化はホルモンの変化と大きく関わっているとされています。
自律神経系・血管運動神経系の症状
ホットフラッシュ、動悸・息切れ、むくみは血管運動神経症状に分類されます。血管運動神経症状は特に更年期に伴う自律神経の乱れと深い関係があるといわれています。
ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)
ホットフラッシュの症状として、突然カーッと身体が熱くなる、顔が紅潮する、気温に関係なく急に汗が出る、上半身はほてりがあるのに手足が冷える等があります。ホットフラッシュの症状が出た場合、一時的に身体の外側を冷やしたり、洋服で調整したりして対処しましょう。
動悸・息切れ
動悸・息切れの症状として、理由なく急に胸がどきどきする、少し歩いただけで息が切れる、息苦しく感じる、突然脈が速くなる等があります。動悸、息切れが起こるのは、更年期特有の原因だけではなく、カフェイン・アルコール・タバコ等の嗜好品の摂取も関係しているとされています。動悸・息切れの対処法として、嗜好品の過剰摂取を控えましょう。
むくみ
むくみの症状として、足がむくんで靴が履きにくい、寝起きに顔が腫れている、指輪が抜けない、靴下のあとがしっかりつく、体重が増えて気になる等があります。むくみが起こるのは、更年期に伴う原因や加齢に伴う筋力の低下、冷えによる血流低下が原因とされています。
消化器系の症状
吐き気、下痢・便秘は消化器症状に分類されます。消化器症状は自律神経の乱れから消化器機能が低下することによって起こるとされています。
吐き気
吐き気の症状として、つわりのような吐き気を感じる、胃腸の調子が悪い、食欲がわかない、急に気持ち悪くなる、嘔吐してしまう等があります。吐き気を感じた時には、冷たい水でうがいしたり、深呼吸をしてリラックスしましょう。
下痢・便秘
下痢・便秘の症状として、腹痛を伴う下痢になる、排便しづらくなった、腹部に不快感がある、下痢と便秘を繰り返す等があります。下痢・便秘の症状が起こった場合、水分をこまめにとったり、トイレを我慢したりしないことが大切です。
運動器官系の症状
肩こり・腰痛・背中の痛みや関節痛などは運動期症状に分類されます。運動器症状は他の症状と一緒にあらわれることが多いといわれています。
肩こり・腰痛・背中の痛み
肩こり、腰痛、背中の痛みの症状として、背中に違和感を感じる、肩から背中まで痛い、肩が重い感じがする、肩の筋肉が凝り固まっている、腰の痛みが続く、腰が重い感じがする等があります。肩こり、腰痛、背中の痛みが起こるのは、更年期の主な原因に加えて、筋肉の緊張や骨への負担による血行不良が原因とされています。
関節痛
関節痛の症状として、肩や手首・膝などの関節がこわばる、手指の痛みやこわばりがある、腱鞘炎になる、節々が痛む・腫れる、階段の上り下りがつらい、椅子から立ち上がる時に痛みがある等があります。関節痛の痛みは、湿布や鎮痛剤を使用することでよくなる場合があります。
しびれ
しびれの症状として、手足がしびれる、手足の感覚が鈍くなる、皮膚の表面にピリピリ感がある、自分の意思とは無関係に手指が動く、朝起きた時に手がこわばる等があります。しびれが気になる部分を冷やしたり、保湿剤を塗ったり、ぬるめのお湯で入浴することで症状を和らげることができます。
更年期の原因
上記で説明したような更年期症状が起こる主な原因として女性ホルモンの減少があります。また、それ以外に職場や家族などの環境的な要因、性格などの心理的要因も影響があるとされています。
女性ホルモンの減少・
自律神経の乱れ
更年期症状が起こる主な原因として、女性ホルモンの減少と自律神経の乱れがあります。
更年期に差し掛かると、卵巣から分泌される女性ホルモンの分泌が減少します。しかし、女性ホルモンの分泌を指令している脳の視床下部では、通常通りの指令を出し続けます。
この状態が続くと、視床下部からの指示量と実際に分泌される女性ホルモンの量に差が出てしまいます。やがてホルモンバランスが保てなくなり、自律神経が乱れることで更年期症状が起こります。
職場環境や家族関係などの
環境的要因
更年期症状が起こる原因として、職場環境や家族関係なども関係あるとされています。仕事をしている女性にとって、40〜50代は仕事上の立場や人間関係に変化が起こる時期です。また、家庭内でも子どもの巣立ちや親の介護などライフスタイルの変化が生じる時期になります。このような変化からストレスが生じ、更年期症状の原因になっている場合も少なくありません。
ストレス
女性ホルモンが減少すると、ストレスホルモンをコントロールし、精神を安定させる働きをもつセロトニンが不足するため、精神神経系の症状などが引き起こされます。
更にストレスを感じると、脳の視床下部でストレスに対抗するアドレナリンやコルチゾールというホルモンが分泌されます。アドレナリンやコルチゾールは女性ホルモンの働きを抑制してしまうので、ホルモンバランスが崩れ、自律神経の乱れにつながり、更年期症状を引き起こします。
性格などの心理的要因
更年期症状が起こる原因として、性格や体質も影響すると言われています。
更年期になりやすい人の特徴として、真面目・几帳面・神経質・完璧主義などといった性格があげられています。このような人はホルモンバランスが乱れる更年期に多くのストレスを抱え込みやすく、更年期症状が起こりやすくなります。