冷えや疲れは体からのサイン!?
漢方と薬膳でできるタイプ別養生

その他

日本漢方養生学協会・理事長であり薬日本堂・薬剤師の鈴木養平様にご登壇いただき、漢方と薬膳でできるタイプ別養生についてお話いただきました。
本レポートでは当日お話いただいた内容を抜粋して、イベントをご紹介します。

登壇者紹介

日本漢方養生学協会・理事長 薬日本堂・薬剤師
日本漢方養生学協会・理事長 薬日本堂・薬剤師
鈴木 養平
東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。
漢方専門相談員として店舗運営、臨床を経験した後、社員教育・広報販促・調剤等に携わる。
“漢方養生生活をより身近に”と薬日本堂漢方スクールの講師としてイベントや講演活動をする一方で、雑誌・本の監修、商品の開発協力(日本コカ・コーラ社”からだ巡茶”など)で活躍中。
日本漢方養生学協会理事長。著書に「わがまま養生訓(フォレスト出版)」がある。

東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。
漢方専門相談員として店舗運営、臨床を経験した後、社員教育・広報販促・調剤等に携わる。
“漢方養生生活をより身近に”と薬日本堂漢方スクールの講師としてイベントや講演活動をする一方で、雑誌・本の監修、商品の開発協力(日本コカ・コーラ社”からだ巡茶”など)で活躍中。
日本漢方養生学協会理事長。著書に「わがまま養生訓(フォレスト出版)」がある。

漢方って?漢方のイメージ

漢方とは

そもそも漢方は日本の言葉です。
漢という字には、中国という国を指す意味と、中国の漢の時代にその基礎が確立されたという意味があります。方には医学、薬学全般を指す意味があります。
つまり漢の時代にその基礎が確立された医学、または中国から伝来された医学ということで漢方と名付けられました。
漢方は日本の中で発展した独自の医学なのです。

漢方のイメージ

皆さんが持たれている漢方に対するマイナスのイメージは、高い、まずい、すぐ効かない、怪しい、古臭い、なんかゴワゴワして飲みづらい、効いてるか効かないかわからない、などが挙げられると思います。特に漢方薬に対してこうしたイメージを持っている方が多いですね。

対してプラスのイメージは、体に優しくて負担が少ない、自然のもの、副作用がとっても少ない、薬膳やお茶などのイメージを持っていらっしゃる方が多いです。

漢方=漢方薬というだけではなくて、漢方は生活全般に関わると思っている方が漢方薬局に足を運んでいらっしゃいます。

漢方薬局に来る方の、健康相談の受付内容

漢方薬局に来る全体の9割近くが女性の方です。特に、40代の女性の方が今一番来ており、次に30代、50代と続いています。
では、40代の方がどんなお悩みで漢方薬局に来て、漢方薬を買われたり、お茶を買われたり、薬膳素材を買われているのでしょうか。

上図は2022年の漢方健康相談の受付内容をまとめたものです。

圧倒的に多いお悩みは「疲れやすい」です。これはもう10年以上連続で1位です。
ドリンク剤で「なんとか、今日だけでも」と頑張っている方もいらっしゃると思いますが、寝て起きてもずっと疲れが取れないという方がすごく多いです。
2位は冷え性。その次にダイエットとなっています。

悩んでいる多くの方は、慢性疲労で体が冷え、それでも痩せたいという方なんですね。当然ホルモンバランスの乱れがあるので不妊症や月経トラブル、50代になると更年期障害に悩んでいる女性が多いです。

漢方薬局に来ている方は、病院に行っても何科に行けばいいのか分からないという方が訪れます。
普段生活をしていて、すごく体調が悪い時に漢方はとても強い存在であるというふうに思ってください。

漢方で考える健康

病院に行くほどでもない、わざわざ他の人に言うほどでもないけど、頭がちょっと痛いんだよね、お通じの出がなんとなく悪い、なんとなく化粧のノリが悪い、夜何回か目覚めちゃうということありますよね。
これらは心と身体から出ている大事なサインです。

不調の症状は人によって違うんです。
同じ不摂生をしても胃に来る人もいれば、寝れなくなる人もいる。これを私たちは体質と言っています。
この体から出てるサインのことは今日から「未病」と言っていきましょう。実はこの「未病」を癒す医学というのが漢方の特徴なんです。

体からはとても多くのサインが出ています。このサインのことが分かれば、頭が痛い時も、ホルモンバランス、ストレス、睡眠、天候、という感じで原因が分かってきて対応しやすくなります。

また、漢方のイロハを学ぶと病気にならない生活をするようにもなります。
かぜをひいて、かぜ薬がいいのか葛根湯がいいのかを考えるのではなく、そもそも病気にならない生活をしましょうというのが漢方の目的です。

だいぶ漢方薬のイメージが変わってきたのではないでしょうか。

【参考】身体からのサイン 舌診

いろんなサインが出ている中で、きっと皆さん興味があるだろう舌診。
毎日歯を磨きながらご自身の舌を見るだけでも、自分の体調管理ができるポイントを4つご紹介します。

舌診の4つのポイント

1.歯型が付いていないか?

歯型がついてる方は、水分代謝が良くないので、水巡りが悪いです。後、なんとなくむくみ体質でもあります。日本の女性の半分程度がむくみ体質と言われているので、歯型がついている方が多いです。

2.舌先が周りよりも赤くなっていないか?

神経が高ぶってる時や夢が多い、途中で目が覚める、なんかそわそわして落ち着かない時は下先が赤くなります。下先が赤い時は夏野菜を食べなさいというサインと思ってください。しっかりと体を冷やすものを取らないと、気持ちの高ぶりは落ち着かないものだと思ってもらうといいと良いです。

3.真ん中に線が1本入ってる?

入ってる方は基本、消化機能が悪いと思ってください。これは生活が乱れているからではなく、もともとご自身の胃腸の働きが要注意という状態の方が真ん中に1本入っています。

4.苔がある?

苔がある方は、寝ても起きてもなんかだるい、なんか鎧被ったような感じの重さを持っている方に出るサインです。

医学の目的は”健康で長生き”

今までの部分のまとめにはなりますが、現代医学、漢方医学を見た時、現代医学は病気に着目します。ですから病を見つけるのが非常に得意です。

それに対して漢方医学は未病に着目するので、予防という意味で漢方医学を十分に使って生活を楽しんでください。
どうしても病気になってしまった時は病院行った方が早いという人もいるし、漢方薬の方が効くという人もいるし、そこは相性だと思います。

キーワードは「自然に生きる」です。
日中はご飯を食べて動いているのか、夜は何も食べずにちゃんと寝ているのか、このオンとオフという部分がバランスよくできているのか、一つずつ生活を見直していくといいと思います。

人の身体を木にたとえて考える

心の持ち方、昼間の食事、運動、休養、あとは環境。
私は今どのような環境にいるのか、どのような食事をして、どういったストレスを抱えているのか、常に考える癖をつけるだけでも体調が良くなったりします。

気血水(きけつすい)で体質を考える

気血水(きけつすい)とは

ご自身の体質が分かるようになるために、今日はこの「気血水」という考え方を採用していきます。

気血水とは、人の体を構成する構成成分です。
「気」は元気の気と思ってください。人はエネルギーでできています。そして赤い体液「血」と色がついてない体液「水」、これで人の体は出来ているという考え方です。

気血水(きけつすい)を備えると良いこと

気血水がしっかり備わっていると、「正気(せいき)」が充実します。
人には「正気」というバッテリーがあります。
100歳まで生き続けるバッテリーを最大限に使い切りましょうというのがポイントです。

病気になる原因を一言で「邪気」と言います。
例えば最近だとコロナウイルスや花粉、ストレス、異常気象などが邪気にあたりますが、邪気以上に自分の正気を強くしたら病気になりません。
周りを嘆くよりも自分自身の体にアプローチして、自分を強くしましょう。

人体の構成成分について

気血水を体質で分けるとこうです(上図)。

人の体が真ん中だとしたら、左側のように体質として構成成分が少なくなる方たちがいます。
元気不足の方たちを気虚タイプ、そして血が不足する方たちを血虚タイプといいます。

それとは逆に、右側のように巡らずに停滞しやすいタイプの方もいます。
元気が滞りやすい方たちを気滞タイプ。血が滞ってドロドロしている方たちを瘀血タイプ。そしてむくみやすい方たちを水滞タイプといいます。

綺麗に一つのタイプに収まるのではなく、元気がなくてストレスを貯めている方がいるように、気虚と気滞を持ち合わせている方もいます。
自分には何が足りなくて、何を補うべきで、何を巡らすべきなのかを考えて生活に落とし込み、養生をしていきましょう。

気血水(きけつすい)のそれぞれタイプについて

では自分がどのタイプなのか気になりますよね。
チェック項目を用意しました(上図)。
チェックをする上でのポイントは、一つのタイプに収めようとしたらダメです。全部が自分のタイプで、今はどこの部分を通じて症状が出てるのかなと考えながらチェックをつけてください。

気虚タイプとは

では気虚から順番にタイプの特徴を確認していきましょう。

気虚タイプは元気不足タイプなので疲れやすいです。また、かぜも引きやすいです。
気虚タイプは重力に負けてくる人たちだと思ってください。

重力に負けてくるから横になりたくなってしまう。
胃下垂だったり、年を取ってくると下半身に肉がつきます。これは重力に負けてきていると思えばいいんです。
疲れた時だけではなく、年齢を重ねると気虚タイプになると思ってください。

気虚タイプは体脂肪が多く、筋肉が少ない方が非常に多いです。そして、汗をかくとだるくなり、元気が逃げていく感じがします。

気虚タイプの生活養生

ポイント1.朝

私たちは夜寝ている間に体がリセットされ、次の日の朝から頑張れるようになっています。
朝の空気はとてもエネルギーが充実しているので、朝起きたら窓を開けて深呼吸をしてください。

気虚タイプの方は朝に活動して、日中ゆっくり休んだ方が良いです。疲れてる人ほど朝早く起きて、疲れがひどい時は夜早く寝るようにしてください。

ポイント2.唾液

奥歯は全体の6割になります。
全体の6割が奥歯ということは、私たちが栄養を入れる時、6割の栄養素は奥歯を使ったものから入れた方が良いと考えます。

特に気を補う穀類、芋類、豆類という主食と言われているものたちをよく噛んで唾液を出し、咀嚼して入れるというのが最高のエネルギー補充法です。

30回は噛んだ方が良いですが、大変なので最初の一口目でいいから30回噛むと体に覚えさせてください。

ポイント3.背中

一番健康的にダメな贅肉は背中です。背中に肉がつくと猫背になり内臓の機能も低下します。

姿勢良くするだけで免疫が上がるので、今日からのイメージしてほしいのはつま先立ちです。
髪を乾かしている時、歯を磨いている時、皿を洗っている時につま先立ちをしてみましょう。
つま先立ちで姿勢をただし、そして肩をちょっと開くことを意識しましょう。

また、普段の私生活では階段を使った方がいいです。階段を使うと後ろを鍛えられます。
縄跳びもつま先立ちでジャンプしてるので、実は後ろを鍛えられます。

まとめると朝、唾液、背中、この3つをキーワードを意識するだけで良いので、まずやってみてください。

ポイント4.黄色い食べ物

食べ物では、「黄色」を意識します。
黄色い食べ物はエネルギー食だと覚えてほしいです。トウモロコシ、かぼちゃ、ハチミツや栗も良いです。大豆や玄米などの黄色ですね。
先ほどあげたような生活をして元気づくりをして、それでもどうしてもリセットしたいという方は初めて漢方薬を飲むようにしてもらうと良いと思います。

ポイント5.ツボ

膝小僧から外側のくるぶしに向けた外側のラインに、足三里というツボがあります。
痛気持ち良いところがあるので、そこを棒などで上下にほぐすと元気がついて水巡りが良くなり、夏バテ予防にすごく良いです。
食べ過ぎた時や、足がむくんで大変という方も含めてこちらをお勧めします。

気滞(ストレス)タイプとは

次は気滞タイプです。
ストレスは誰しも貯まりますから、皆さん自分のタイプと思ってください。

ご自身でストレスを感じる方もいますが、気が滞っていると思わない方もいます。
こういう方は、喉がつっかえたり、ため息やゲップなど上から空気が抜けるような症状が出ます。また、ガスが溜まりやすいのもストレスだと思ってください。

大きなポイントは症状にとってもムラがあることです。例えば今日はなんか右側がすごく苦しいなぁと思ったら、明日になったら左の頭が痛かったりと症状は日替わりです。

気滞タイプの生活養生

ポイント1.香り

では気を巡らすにはどうするか。
ストレスは見えないですよね。見えないものを巡らすときは、見えない香りで対応するんです。
ご自身の好きな香りを嗅ぐだけで気がめぐってきます。

コーヒーの香りが好きなら、飲まなくても良いから香りを嗅いでおきましょう。玄関とか入浴剤とか自分の好きな香りに変えるだけで気が巡ってきます。

あとは、香り野菜を意識して買うだけで気をめぐらす薬膳を買うことになります。春菊、セロリ、パクチー、シソの葉とかが良いですね。

香りというのは良いも悪いも速攻性があります。香りものが苦手という方は柑橘系を食べるといいです。柑橘系は気を巡らせます。

ポイント2.肘を伸ばす

脇を伸ばすと良いです。
ずっと座りっぱなしとか同じ姿勢の時は、脇を伸ばしたりとか叩くだけでも全然違います。

ポイント3.深呼吸をする

そして深呼吸は大切です。息は自らの心と書きます。
気持ちを整える時とか、怒りっぽくなった時に深呼吸をして一拍を置いてください。深呼吸をすると、私は今何で怒っているんだろうかと、冷静になり落ち着いたりします。

ポイント4.ツボ

手でグーをした時に中指の指先が押さえている場所が、労宮というツボになります。ここをもう一方の親指でマッサージしてください。
ここを押すと上半身の血流が良くなっていきますので、目が疲れやすい人とか、肩こりやイライラした時にとってもおすすめです。
集中力が欠けた時もこのツボを押すと良いです。

血虚(血不足)タイプとは

血が足りないと栄養が行き届かないので、皮膚がカサカサします。
また、末端に症状が出やすいので髪に栄養がいかないと白髪が多くなったり、足がつったり、爪がもろくなるなどの症状もあります。

良い血を補うことで、これらの症状が解消されるほか、女性の皆さんはホルモンバランスが乱れているときに良い血を補うことでホルモンバランスも整い、美容にも効果的です。
また、人間の末端の一番上には脳があるので、良い血が備わると精神も安定します。

血虚タイプの生活養生

ポイント1.目を使わない

良い血を作るために食べ物を摂取することも大切ですが、血の燃費が悪い場所に気をつけることも大切です。

燃費が悪い場所、それは目です。
私たちはスマホ時代になって目を酷使しています。暗くなった時間以降は、日中よりも画面を見る時間を少なくしましょう。
目を使う時間と使わない時間、そこのメリハリをできるだけ意識するといいと思います。

ポイント2.赤白食材

食べ物に関してのポイントは赤白食材です。

赤はクコの実やナツメの実、あとは赤身の魚、赤身の肉など。白は松の実や、白キクラゲ、蓮の実などが当てはまります。
よくわからない場合は、種や実を食べましょう。クコの実、ゴマの実、ドライフルーツでも良いですね。実や種を意識して食べることで、潤い作りができます。

また、甘いものと酸味を一緒に組み合わせても、潤いに変わっていきます。特に、はちみつレモンや、桃やキウイフルーツなど、最初から酸味と甘みがついているフルーツを意識して摂ってみると潤い作りに有効的です。

ぜひ食べ物のちょっとしたブラッシュアップを意識してみてください。

ポイント3.ツボ

ツボは血海というツボで、膝の上をつかむだけです。
つかむだけなので、お風呂の湯船に入っている時とか、座りながらで良いのでマッサージしてみてください。

瘀血(おけつ)ドロドロタイプとは

ドロドロタイプは巡りが悪くなり、生理痛や心臓の痛み、肩こりや頭痛など毎回同じ場所が痛む固定痛が起こりやすくなります。
あと打撲した時にその場所が痛いことがありますよね。それも瘀血の症状です。

瘀血はいろんなところが紫色になると言われているので、目の下のクマ、シミやそばかす、ホクロなど、年齢とともにドロドロ血になり増えていくんです。

血液検査でわかる病気は瘀血の場合が多いです。
コレステロール、中性脂肪など、生活習慣を見直してサラサラ血を保つことが大切です。

瘀血タイプの生活養生

ポイント1.冷やさない

冷えて血流が良くなることはありません。
冷やせば冷やすほど巡りが悪くなります。特に女性の皆さんは腰周りを冷やしてはいけません。足首周りもダメです。
足首周りと腰周りを冷やさない対策をしましょう。

ポイント2.黒食材

食べ物は黒食材が良いです。黒食材はメンテナンス食材と思ってください。
黒豆、黒酢、黒きくらげ、黒ゴマ、見た目が黒いものでも良いです。わかめ、ひじき、昆布など黒というキーワードを覚えれば良いと思います。

ポイント3.身体を動かす

瘀血がすすめば体は硬くなっていきます。
自己流でも構わないのでちょっと屈伸運動したり、ストレッチをしたり、ご自身のレベルで良いのでやってみてください。
外から応援することで食材の働きが良くなります。

ポイント4.ツボ

手の甲の親指と人差し指の溝のところを押してください。合谷のツボと言います。
合谷はデトックスのツボなので、妊婦さんは押してはダメです。妊婦さん以外の方はここを押すと、腸が動き始めてデトックスの応援になりますのでぜひ意識してください。

水滞(むくみ)タイプとは

日本人が一番多いのはこのタイプです。
雨の日に弱い、胃腸の働きに弱くて水巡りが悪いという方がすごく多いです。また、気象病の方たちもこのタイプです。
痰が絡みやすかったり、頭が痛い、重たい、だるい、車酔いしやすい、朝は手がこわばるといった症状が出ます。

水滞タイプの生活養生

ポイント1.湿気対策と水分補給

寝室の湿気が一番皆さんの水巡りを悪くしています。
なので、布団の湿気を意識してほしいです。晴れた日は布団を干してください。布団乾燥機でも良いです。
とにかく湿気対策をしてください。

むくんでるから水を飲んじゃダメと思ってる人もいますが、それは大間違いです。
循環が必要なので、良い水を入れていらない水を出すということを心がいてほしいです。
ご自身が普段トイレに行ってる回数がありますね。その回数をちゃんとキープするように水分をとってほしいです。夏場は汗が出てくるから水分を多めに取るように意識してください。

ポイント2.海のものを食べる

食事はどちらかというと海のものを多く摂った方が良いです。
自然界のナトリウムをちゃんと入れて、尿や汗を出すようにしてください。これは熱中症対策にもなります。
なので魚を食べる日をちょっと多くする、海藻を食べる日を多くする、そうした意識をしましょう。

ポイント3.ツボ

ツボは気虚の時と同じ、足三里のツボといって、足の外側を押してみてください。

まとめ

漢方には暮らしを楽しくしていくための生活の知恵がいっぱいあります。
ご自身の未病の際、「あれ、なんで私今日このサインが出たのかしら」っていうのを意識するだけでも良いです。まずはご自身の未病のサインと会話をしましょう。

その上で、黄色は元気に、香りものの青野菜はストレスに、赤白食材は潤い、黒食材はメンテナンスに良いというように、今日のお話をぜひ参考にして生活に取り入れてもらえたら嬉しいです。

Q&A

Q1.気虚タイプですが、食欲があまりなく食べると疲れつかれます。こういう時でも黄色い食材を頑張って食べた方が良いのでしょうか。

気虚の方は食べた後に眠たくなる方がすごく多いです。胃腸の働きが弱っている時に無理に食べるとかえって疲れてしまいます。
なので、比較的朝ごはんは消化が良いものが良いです。おかゆなどをおすすめしています。
よく噛んで唾液を出すことを意識すれば、無理に多く食べなくても良いです。

あとは寝る、食べる、動くの順番で優先度をつけてください。
寝る方がかえって元気が出たりするので、食欲ない時は思い切って1回抜くのもポイントです。

黄色いものは意識して食べた方が良いです。よく噛んで食べて、エネルギーに変えることを意識していくと良いと思います。
朝昼はできるだけ無理しないように食べて、夜は控えめで大丈夫です。早く寝た方が良いと思いますが、夜の方が食べれるっていう方は夜多めにして昼少なめでも全然構いません。

Q1.気虚タイプは唾液を出す良いとありましたが、その理由を教えてください。

気虚の方は食べたものをエネルギーに変える力がないんです。食べたのにエネルギーにならない方が気虚になりやすいです。もともと食べれない食が細い方もいらっしゃいますよね。

食べたものをエネルギーにするために意識してできることは胃に入る前の作業なので、少しでも消化活動に負担をかけないで入れてあげたいですよね。
そのために唯一意識できるのが唾液でちゃんと咀嚼して胃に持っていくことです。

特に夏場に意識してほしいのが、食事中に水をガブガブ飲みながら食事はしないこと。
ここでガブガブ飲んじゃうと胃液が薄まって、急激に消化をしなきゃいけなくなるので、全体の血液が全部お腹に集まってしまう。そのため眠たくなってしまいます。
だから唾液で咀嚼して胃液に持って行ってあげてください。

Q3.いろんなタイプに当てはまる場合は、なんとなく全体的に取り入れた方が良いのでしょうか。

皆さん多分タイプをチェックしてみる3個、2個当てはまっているかと思います。
数ではなく今生活をしていて一番気になるところから対策をした方が良いです。
まんべんなく気になると思ったら、やってみたいものからつまみ食い的に生活に取り入れてみてください。
そうするとなんとなく自分だけの養生ということで習慣になっていくので、一通り体験してみても良いと思います。

Q4.水滞気味ですが、朝にスムージーはどうでしょうか。

おすすめしているのは朝の白湯です。
スムージーも良いと思いますよ。栄養が豊富だし、食物繊維も取れるので良いと思います。
水滞気味で、朝むくんでいる、いまいち調子がつかないという時は朝白湯を飲んでください。白湯は1回沸騰したのを自然に冷ますのですが、湯飲みの3分の1ぐらいで良いです。
もし冷え性の方だったら、ホットスムージーの方がいいかもしれません。

Q5.更年期で、暖かい夏が余計に熱く感じます。1日を通してたくさん夏野菜をとっても良いですか。

更年期の場合は冷えのぼせになりやすいです。だからどちらかというと足から下は寒くて、でも足の先はほてっちゃって、首からもほてっちゃうみたいな感じが多いです。
舌先を見て赤くなっている場合は熱のサインなので、暑い時期は特に夏野菜を多くしてください。夜になってまで多く食べる必要はありません。
時間によって食べるものを変えていくという風に考えましょう。

Q6.男性にも当てはまりますよね。

もちろんです。血虚も瘀血も女性気味に話したかもしれませんが、男性でも血を補うと末端まで栄養がいくので、視力が落ちている男性も血を補った方が良いですし、寝れない男性もいますよね。不眠っていうのは、血虚になるので補ったほうが良いです。

Q7.爪がでこぼこ変形、ほくろが大きくなった場合、どうすればいいでしょうか。

爪に出ている方は栄養不足です。血虚に当てはまります。
ホクロとかが多くなるのは瘀血。血の巡りがあんまり良くないのだと思います。なので血虚の養生で種とか実を食べるとか目をあんまり使わないとか、できることからやりましょう。
また、瘀血の養生で黒食材をちょっと多めにするなどを取り入れていただくと良いと思います。

Q8.ストレス対策の香りは食材でなくても、アロマで好きな香りを嗅ぐのでも良いのでしょうか。

OKです。直接香りを嗅ぐというのは大脳にすぐ行くので、本当に好きな香りを嗅ぐというのはすごく良いことです。好きな香りがよくわからないという方は、香り野菜とか柑橘系を取り入れていただくと良いと思います。

Q9.むくみタイプに当てはまるのですが、60代でもできるダイエット法を教えてください。

60代でもできるダイエット法は、まずは夜は食事を少なくした方がいいです。
暗い時間の食事を少なくして、明るい時間の食事は普通にとって良いです。そこをまずメリハリをつけて、動いて食べる時間と、食べないで休む時間をちゃんと取ることが大切です。
あとは背中を意識すると、背中の贅肉が取れると痩せます。代謝も良くなってくるので、姿勢良くするのは大切です。

Q10.夏場は頭から首にかけて流れ落ちるくらい汗をかくのですが、こういう場合激しい運動は避けた方が良いでしょうか。

これは汗かいた後、その方ご自身の体調がどうかということが大切です。
汗がもれ出ちゃっているのか、暑いから整理機能として出ているのか。汗をかいてスッキリしたのなら気にしなくても良いですが、汗をかいた後すごくだるいっていう方はもれています。

この時期は、熱がこもらないように夏野菜とか、苦いもの、ゴーヤや緑茶を摂ると良いですね。
苦いものは静熱の働きがあるので、苦いものや夏野菜をちょっと意識してとるよう心がけた方が良いと思います。

Q11.汗をよくかき、冷え、下痢も多いです。これは何タイプでしょうか。

気虚と水滞が混じっているタイプだと思います。実は一番多いタイプです。
漏れちゃっている方が疲れやすく、汗をかきやすいタイプですね。それでいて下痢するってことは消化器系あんま良くないです。
消化器系が悪い人ほどやっぱりお通じの部分が出てくるので、気虚と水滞の養生、ここから始めていただくと良いと思います。

Q12.寝ている時に更年期特有の火照りがひどく、眠りが浅いです。どんな対策をすれば良いでしょうか。

火照るのは潤いがたりなくなっているので、日中水分を取った方が良いです。
血虚の赤白食材を紹介させていただきましたが、ホルモンバランスを整えるためにも赤白食材を日中少し意識した方が良いですね。

BELTAでは、ライフステージの変化によって生まれる不安や疑問を笑顔に変えられるように、資格を持った専門家やプロフェッショナルが実施したイベントをレポートとしてお届けしています。本日共有した内容が、皆様の参考になれば幸いです。