
婦人科受診は何歳から?
プレコンセプションケアは
女性の一生の健康に深く関係する
ローズレディースクリニック 院長
石塚文平先生



BELTA
と
不妊治療専門医
石塚先生と
対談させていただきました!
早期卵巣不全の研究や啓発活動に長年取り組んでこられた石塚先生。今回は、早いうちから知っておきたい早期卵巣不全や卵子凍結のこと、またプレコンセプションケアと女性の健康の関係についてお話ししました。


プレコンセプションケアに対する
専門医の想い
プレコンセプションケアは
女性の一生の健康
に深く関係する


プレコンセプションケアは
女性の一生の健康に深く関係する
昨今ではプレコンセプションケアが推奨されていますが、先生のプレコンセプションケアに対するお考えを教えてください。
プレコンセプションケアは、妊娠に向けた健康管理という意味合いで使われますが、この取り組みは結果的に女性自身の健康問題とも大きく関係しています。
妊娠すると、高血圧や糖尿病、高コレステロールなど健康上の問題が現れやすくなります。
プレコンセプションケアで、妊娠に向けた検査だけでなく、適切な食事摂取や定期的な運動を行っておくことが、妊娠時のトラブル予防に繋がり、最終的に女性の一生の健康にもつながります。
プレコンセプションケアは、妊娠に向けた準備でありながら、女性が健康でいるために必要な考え方なのですね。
そうですね。また、プレコンセプションケアを行うことは、いざ妊娠した時に健康な赤ちゃんを産むという意味でも重要です。
つまり、プレコンセプションケアは自身の未来や次の世代の健康をつくるために必要な考え方なのです。
貴院のプレコンセプションケア検診を受けに来る方はどのような方が多いですか?
年代は様々ですが、30代の方が多い印象です。
先日は、30歳で恋人ができて将来や子どものことを考え始めた時に、不安を感じて検査を受けに来たという方もいました。
何かしらの不安を感じて、検診を受けるなど行動に移す方が多い印象です。
まだあまり知られていない
100人に1人はいる
早期閉経


まだあまり知られていない
100人に1人はいる
早期閉経
先生が不妊治療の現場で患者様とコミュニケーションをされる中で、知らない人が多いと感じる知識はありますか?
AMHについてはまだあまり知られていないですね。AMHは、卵巣の中に今後発育できる卵がどれくらい残っているのかを知ることができるホルモンのことをいいます。
このホルモン値には個人差もあり、AMHを見ることは妊娠を考える上で非常に重要だと思います。
また、卵子の数だけでなく年齢と共に卵子の質が低下するということも知っておいていただきたいです。特に35歳〜37歳くらいで、卵子の質が大きく下がるといわれています。

卵子の質や数についてはあまり知られていないのですね。卵子の数……というと先生は早期閉経(早発卵巣不全)の治療や研究にも注力されていると伺いました。
はい。早期閉経とは、40歳未満で月経がなくなってしまうことをいいます。
早期閉経の場合、排卵が行われていなかったり、卵巣内にある卵子が残り少ない状態にあります。日本人女性の約1〜2%の人が早期閉経にあたり、10万人近くいるといわれています。
100人に1人と考えると、決して少なくないですよね。早期閉経になる原因は何ですか?
遺伝子的な要因や自己免疫によるもの、あとはがん治療や卵巣の手術によるものなど様々です。
自覚症状はあるのでしょうか?
生理が来なくなります。
13歳頃で初潮が来ないことをきっかけに検査をして、早期閉経がわかる方もいれば、30代で生理が来なくなり気づく方も多いですね。
また、ホットフラッシュ(急なほてりや動悸を感じるなど)が現れる方もいらっしゃいます。
気づいた時には閉経していた、というケースもあるのですね。
そうですね。早期閉経は妊娠への影響はもちろん、しっかりと対処しなければ健康上の問題も生じます。
診断が出た場合は、まずは何が原因なのかを検査をし、長期的な目線で治療を行います。
早期閉経の場合、妊娠をすることは難しいのでしょうか?
その方の状況によりますが、妊娠が難しい場合もあります。
一方で、状態によっては35歳頃までであれば、月経がなくなって4年未満に行う体外受精の結果は、一般の方と変わらないと言われるまでになってきています。
早く気付けばその分できることも増えますので、いかに早く気付けるかが大切です。
卵子凍結は
妊娠率が上がる
しかし、100%ではない


卵子凍結は
妊娠率が上がる
しかし、100%ではない
最近では、将来に向けて卵子凍結※をされる人も増えていると聞きます。
当院でも、卵子凍結を希望される方は増えています。
早期閉経と診断されて卵子凍結を行う方もいれば、「今はキャリアを優先させたい」という方、「今はパートナーがいないけれど将来に向けて」という方など、希望される理由は様々です。
※卵子凍結:卵巣から卵子を取り出し凍結保管しておくこと。将来の妊娠希望時に体外受精で使用することができる。卵子凍結の流れは基本皆さん同じですか?
はい、基本的には同じです。当院では、できるだけ多くの卵を採るために排卵誘発の注射を打ち卵を育て、採卵(卵巣から卵子を取り出すこと)を行います。
年齢や体質、その方の状態により、採れる卵の数は変わります。

卵子凍結をする上で知っておくべきことはありますか?
やはり、若い時の卵を採って凍結しておくことで将来使用した際の妊娠率があがることは間違いないので、とても良いことだと思います。
一方で、卵1つあたりの妊娠率は10〜20%程度であるということも知っておくことが大切です。
卵子凍結をしておけば、将来の妊娠が確実になる、というのは間違いなのですね。
はい、卵子凍結をしておけば100%妊娠できるというわけではありません。
婦人科の
主治医を持とう


婦人科の主治医を持とう
現状では、何か異常がある時や、妊娠・出産などのイベント時に婦人科を受診する人もいると思いますが、それについてはどうお考えですか?
本来、女性には婦人科の主治医が必要だと考えています。
まだまだこうした考え方は十分に浸透していないませんが、不妊治療に限らず、早期閉経や更年期の治療も行う中で、婦人科が女性の健康管理を担っていく必要があると感じています。
女性ホルモンは女性の皮膚、血管、褒め、脳の若さを保つ働きがあり、月経を整えます。可能な方には、閉経後もホルモン補充を続ける事が一生の健康に繋がります。
先生は何歳くらいからの婦人科受診を勧められますか?
10代、初潮が始まるくらいで良いと思います。
当院に通われる方の中には、娘さんが初潮を迎えた際に親御さんと一緒に受診される方もいます。
婦人科は、思春期以降の身体のことだけでなく心の悩みも相談できるような場所として活用していただけます。
今後は、婦人科医が一人の女性の一生に寄り添い、生理や避妊に関する悩みをもっと気軽に相談できる存在であるべきだと考えています。
ありがとうございます。最後に、これから将来を選択していく学生の方々や、これから妊活を始める方に向けてメッセージをお願いします。
改めて、プレコンセプションケアは、妊娠のためだけではなく、健康維持のためにも非常に重要なことです。
プレコンセプションケア検診は、一般的な婦人科検診に加えて女性特有の甲状腺や卵巣機能に焦点を当てた内容となっており、非常に意義あるものだと感じています。
ぜひ、将来子どもを持ちたいと少しでも考えている方はもちろん、一生の健康のためにも、まずは検査だけでも早く受けてほしいです。






PROFILE
石塚文平
ローズレディースクリニック 院長
昭和大学医学部卒業後、米国空軍立川病院でのインターンを経たのち、慶應義塾大学の産婦人科に入局する。
米国留学や研究員としての経験を経たのち、聖マリアンナ医科大学産婦人科にて教授を務める。早期卵巣不全の研究や啓発活動に取り組み、ローズ法という治療法の開発により、早期卵巣不全の患者の妊娠を可能にしてきた。
2014年にローズレディースクリニックを開院し、妊活をはじめ婦人科検診や更年期ケアなど女性の一生に寄り添う医療を提供している。早期卵巣不全の治療を専門的に行う医療機関としては、全世界をみても有数のクリニックである。
ローズレディースクリニック:
https://roseladiesclinic.jp/