更年期に効く
漢方とは?

無理なく生活に取り入れて
症状をやわらげる

毎日どこかしら不調を感じている、
調子のよいときが少ない、
そんな症状でお悩みの女性は
「更年期」が原因かもしれません。

更年期とは、
閉経の前後10年の時期を指し、
肩こりやめまい、ほてりなど、
それまで感じなかった心身の変化を
実感する時期です。

今回は更年期の症状と漢方を
取り入れた対策方法をご紹介します。
いつもの生活に少しプラスするだけで、身体も心も楽になるでしょう。

更年期の症状とは

ツラい肩こり、腰痛、冷えに効く!

女性の更年期の症状はさまざまです。
また、その日によって症状が異なるのも更年期症状の特徴です。体調管理が難しいと感じる方もおおいでしょう。

「更年期」は閉経の前後10年を指します。一定のリズムで訪れていた月経のリズムが乱れ、閉経を迎える過程でホルモンバランスに影響し、さまざまな症状を引き起こします。

東洋医学で「血の道症」と呼ばれる時期です。

最近は、30代後半から40代前半の「プレ更年期」の時期に不調を感じる方も少なくありません。疲れやすい、イライラする、といった些細な変化から日常生活に困難を感じる場合まで、更年期の症状を確認してみましょう。

イライラする

これって更年期かな?と感じる症状の1つにイライラが挙げられます。

  • 今まで気にならなかったことに腹が立つ
  • 急に焦りを感じる
  • 前触れなく不機嫌になる

このような症状が見られる場合、更年期による身体の変化が原因かもしれません。

更年期が訪れると、女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンは、ストレスに対抗するホルモン、セロトニンの生成に影響しています。

結果として、エストロゲンの減少はセロトニンの不足につながり、ストレスにたえる力が弱まってイライラしてしまうのです。
また、更年期の女性は年齢的に仕事でも家庭でもストレスを感じやすい環境です。イライラを引き起こしやすく、自身で感情をコントロールするのが難しく感じられるでしょう。

手足の冷えやのぼせ

手足が冷えるのに身体がのぼせる症状も、更年期の特徴の1つです。

  • 手足が冷えるのに身体がのぼせる症状も、更年期の特徴の1つです。
  • 布団に入っても手足がつめたくて眠れない
  • 身体だけがほてって汗をかく

このような症状も更年期の特徴です。女性ホルモンが減少し、自律神経のバランスが乱れると身体の体温調節がうまくいかなくなり、結果として冷えやのぼせの症状を引き起こします。

不眠やストレス

手足が冷えるのに身体がのぼせる症状も、更年期の特徴の1つです。

  • 身体がほてる、ホットフラッシュによる不快感
  • 動悸やストレス、不安感

これらの症状も女性ホルモンのエストロゲンの減少で自律神経のバランスが乱れるのが原因です。

急に身体がほてり、発汗するホットフラッシュによる不快感で寝つけない場合や、急な動悸や不安感に襲われるケースなどは睡眠の妨げになるので、対策を取る必要があるといえるでしょう。

むくみや疲労感

更年期のむくみや疲労感は、女性ホルモンが減少する影響で筋肉量が減るために引き起こされる症状です。

筋肉量の低下はリンパの流れが滞る原因にもなります。血の巡りが悪くなるので水分がたまりやすく、むくみやすくなるといえるでしょう。
身体に水分がたまると活動に影響を及ぼし、疲労感につながります。休息を取っても解消されない疲労感は更年期が原因です。

最近太りやすくなったと感じる方は更年期によるむくみが原因かもしれません。靴下や指輪が入りづらい、窮屈に感じるなどの症状はストレスになります。早めに対処しましょう。

つらい肩こり

つらい肩こりも更年期の症状の1つです。更年期の身体の変化が肩こりにつながるメカニズムは次の通りです。

  • 女性ホルモンエストロゲンの減少による自律神経の乱れ
  • エストロゲンの減少による筋肉量の低下
  • エストロゲンの減少によるストレス・イライラ

更年期は自律神経の乱れにより、身体も心もストレスを抱えている状態で筋肉量が低下します。同じ姿勢でいると身体が固まってしまったり、リラックスしづらくなります。身体が筋力不足でしなやかさを失った結果、肩こりの症状が表れるのです。

更年期の症状はさまざまですが、原因は共通しています。閉経期の身体の変化に合わせて症状をやわらげる方法を試してみましょう。

更年期の症状をやわらげる
漢方の考え方

更年期症状の対策として漢方が効くと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

漢方では「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素から身体を考えます。
3つの要素が巡ることで身体が整うとされており、リズムが乱れると身体に不調として表れるので注意が欠かせません。
この、はっきりとした原因が特定できない身体の不調を不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼びます。

漢方では月経は「血」の要素です。「血」のリズムが乱れると「気」や「水」の働きにも影響を及ぼします。
「気」は心や身体の元気やエネルギー、「水」は身体の水の巡りを指します。「血」のリズムが乱れるだけで身体全体のリズムが乱れてしまうといえるでしょう。

漢方では、乱れたリズムを整え、本来の状態に近づけてあげる効果が期待できます。生活の中に少し取り入れるだけで実践できるので、自身に合った方法を確認しましょう。

【症状別】食事に取り入れたい薬膳

薬膳は、いつもの食事に少し食材を加えるだけで更年期のつらい症状をやわらげる手助けをしてくれます。私たちが普段食べている食事の中にも、薬膳に多く使われる食材はたくさんあります。
大きく食生活を変えるのは大変ですが、意識していつもの食事に加えるだけなら手間も時間もかかりません。

更年期の症状別に取り入れたい食材をまとめました。

【陰の作用と陽の作用】

薬膳の考え方に、「陰陽」があります。
「陰」とは、身体を冷やし、ほてりや精神的な焦りを沈めます。一方、「陽」とは、身体を温め、栄養を与える働きを指します。血液を作る作用がある食材を選びましょう。

食材
ジャスミン・ミントなどのハーブ
取り入れ方
温かいお茶・食事の彩り
食材
ピーマン・玉ねぎ・オレンジ・みかん・鮭など
取り入れ方
デザート・副菜
食材
やまいも・黒豆・エリンギ・ほうれん草・豚肉・鶏肉・チーズなど
取り入れ方
副菜や主菜にプラス
食材
ハーブ・ピーマン・玉ねぎ・えりんぎ・ほうれん草など
取り入れ方
体調を見ながら食事にプラス
食材
バナナ・ほうれん草・豚肉・かぼちゃ
取り入れ方
体調を見ながら食事にプラス

【温活】薬湯で疲労回復

身体を温める薬湯は、日本に古くからある考え方です。端午の節句のしょうぶ湯や、冬至のゆず湯なども薬湯の考え方といえるでしょう。
冷えやむくみを取り、身体の流れを内側から整えるために入浴は欠かせません。入浴が面倒に感じる方は5分程度お湯に浸かる習慣から始めましょう。

薬湯として売られている製品は身体を温める効果が高い場合が多く、短時間の入浴でも身体が温まります。冷えやむくみが改善されると心地よく眠れるため、不眠に悩んでいる方も効果を感じられるでしょう。

【リラックス効果】
薬膳茶で体を整える

薬膳茶は身体を温めるだけではなく、イライラや不安感にも効果が期待できます。食後や食間に飲んでいるコーヒーや紅茶を薬膳茶に置き換えるだけなので、生活に取り入れやすいといえるでしょう。

自宅で取り入れやすい代表的な 薬膳茶は次の3つです。

ハトムギ茶:「気」を補い「水」のめぐりをよくする

シナモン紅茶:身体を温め、胃腸の働きをよくする

ジャスミン茶:イライラやうつ気分の解消、不眠がちな人にも

基本的には購入した茶葉を、ふだんお茶を淹れるのと同じ要領で煮出し、リラックスタイムに飲むだけです。
温かいお茶は身体を内側から温めるだけではなく、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。取り扱っているショップを探してみましょう。

薬局でも買える顆粒タイプの漢方

顆粒タイプの漢方は薬局でも手に入ります。自宅で薬膳や薬湯を取り入れづらい場合は持ち歩きにも便利な顆粒タイプを選ぶとよいでしょう。

顆粒タイプの漢方は薬剤別に小分けされており、症状に合わせて服用できます。

代表的な市販の漢方薬は次の3つです。

加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラ・不眠に

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):手足の冷え・のぼせに

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え・むくみに

漢方薬を取り入れる際はドラッグストアなどで薬剤師に相談してください。

まとめ

更年期の症状はさまざまですが、つらい症状は我慢をせず、自身の心身の症状をやわらげるような工夫が必要です。 今回の記事でご紹介した対策の中で、取り組みやすくストレスの少ない方法から始めてみてください。 症状がやわらぐと気持ちも前向きになり、毎日が少しずつ過ごしやすくなります。 更年期の症状は誰にでも起こります。 閉経期だからと諦めずに、身体の変化と上手に付き合っていけるとよいですね。